猫を飼っている方なら一度は、猫が毛布や飼い主さんに、前足で「ふみふみ」をしている姿を見たことがあるのではないでしょうか。
1.猫がふみふみする理由
とてもかわいい猫のふみふみ。
「ニーディング」「ミルクトレッド」とも呼ばれているこの行動は、もともとは子猫が母猫の乳房を押して、母乳を出しやすくするためのものです。
しかし、子猫に限らず、大人になった猫も、ウール生地や毛布などを前足でふみふみをする場合があります。その原因は実は現在でも解明されていません。
現在最も有力とされているのが、子猫の時に母猫に甘えることが足りていなかったことから来るストレスという説です。たとえば、飼い主さんに対してふみふみをするのは、猫が人に甘える時に子猫の気持ちにかえるため。猫は嫌いな人や知らない人にはこの行動を起こさないので、ふみふみをすることは愛情表現とも捉えられます。
1、お腹が空いたときのアピール
まず挙げられるのが「お腹が空いたよ」というアピールです。
生まれたばかりの子猫は、母乳を飲むときに、乳腺を刺激してお乳がよく出るように両手でおっぱいを揉むような動きをします。そのため、「ふみふみすると、おなかが満たされる」と本能的に覚えているのでしょう。
それを今のお母さんである飼い主さんに向けて行っている、というわけです。
「この子にとって今は私がお母さんなんだなぁ」と素直に喜びつつ、そそくさとごはんの準備をしてあげましょう。
2、甘えたいとき
もちろん、甘えたいときだって、ふみふみします。我が道を行くと言われる猫だって、甘えたい気持ちはあるものです。
それは子猫のときはもちろん、大きくなっても変わりません。
猫が飼い主さんのことを心から信頼していて、「このひとは無条件に自分のことを受け入れてくれる存在だ」と思っているなら、子猫のころのあたたかい記憶を思い出しながら、ふみふみしたくなっても不思議ではない、というわけですね。
もし、ふみふみと一緒に「ゴロゴロ」と喉を鳴らすようであれば、その猫はまさに至福のひとときを味わっている最中。ぜひ、心ゆくまでふみふみさせてあげましょう。
3、眠たいとき
猫は、眠くなってもふみふみすることがあります。
ぼんやりとまどろみながら、子猫のころに戻って母猫に甘えていたときのしぐさを見せてくれるということは、安心しきっている証拠です。
眠りにつくまで、そのふみふみを堪能させてあげましょう。
2.猫のふみふみの種類
猫のふみふみにはいくつかの種類があります。それぞれどのような気持ちでふみふみをしているのかご紹介します。
1、お気に入りの毛布をふみふみする 猫の睡眠前に多く見られます。お気に入りの毛布などをふみふみして、睡眠前にリラックスしていると考えられています。母猫の事を思い出して、甘える気持ちでふみふみしています。
2、寝ている時などにエアーふみふみをする 子猫に多く見られます。同時にまるで授乳しているかのように、口を「チュウチュウ」とすることもあります。授乳中の夢でも見ているのか、とても幸せな気持ちで寝ているのではないでしょうか。
3、飼い主さんなどの「人」に対してふみふみをする 猫が飼い主さんなどに甘えている時にとる行動のひとつ。お気に入りの人に対してしかふみふみをしないことが多いため、愛情表現ともとることができます。遊んでほしい時や飼い主さんに甘えたい気持ちの時に、ふみふみしているようです。
4、一緒に飼われている猫や犬に対してふみふみをする
多頭飼いをしている場合などに見られます。
兄弟でも親でもない猫に対してふみふみをすることも。毛布などはもともと母猫のかわりですから、体温も感じられる実際の生き物にふみふみをする猫も少なくないようです。
こちらも基本的には甘えたい気持ちの時にふみふみしているようですが、お気に入りの猫や犬を見つけたら1匹に絞ってふみふみすることが多いため、相手に対して好きだという気持ちを伝えているのかもしれません。
3.ふみふみする猫としない猫の違い
愛情表現としてふみふみする猫がいる一方で、まったくやらない猫もいます。ふみふみするのかしないのか、その違いはどこにあるのでしょうか。
親離れができている(自立心が育っている)かどうか
先ほども説明した通り、甘えしぐさとしてのふみふみは、母猫のお乳を飲んでいたときの名残です。
一方で、子猫時代にしっかり母猫に甘えていた、コミュニケーションが取れていた子猫は、離乳が進むにつれてふみふみしぐさをやらなくなります。
これは猫のなかで自立心が芽生え、精神面で成長するにつれ、ふみふみの回数も少なくなっていく傾向があるのです。 逆に親から引き離されるのが早く、自立心が育っていない猫の場合は、寂しさを紛らわせる手段としてふみふみをやることがあります。
飼い主の目の前や、飼い主に対してふみふみをやるときは、猫からの「信頼しているよ、大好きだよ」のサイン。そんなときは思う存分甘えさせてあげると、さらに仲は深まるでしょう。